【9月議会】障がい者施策と保育現場の課題について一般質問を行いました
こんにちは。
福山市議会議員(誠友会)の田口裕司です。
令和8年9月定例会の本会議で、一般質問に立たせていただきました。
今回のテーマは、障がいのある方への支援と、保育の現場を守る取り組みです。
質問の準備にあたっては、実際にいくつかの障がい者施設やグループホームを見学し、そこで働く支援員の方、事業者の皆さん、そして保育の現場の方から、直接お話をうかがいました。机の上の資料だけではわからない「現場のリアル」を、できる限り議場に持ち込むことを心がけました。少し長くなりますが、当日のやり取りをご報告します。
なぜ、いま障がい者施策なのか
福山市の「障がい者プラン」、そして「障害福祉計画」は、いずれも今年度が計画期間の最終年度です。
来年度(令和9年度)から始まる次の6年間の計画を、いま市が策定しています。
国も今年3月に、相談体制の強化や重度障がいへの支援など、これまでより踏み込んだ新しい「基本指針」を示しました。
福山の次期計画は、この見直しを受け止める最初の計画になります。
一方で、市民アンケートでは「福山市は障がい者にとって暮らしやすいと思う」と答えた方はわずか14.1%にとどまっています。
だからこそ私は、次期計画を「絵に描いた餅」にしないために、就労・重度支援・地域生活といった具体策を、今のタイミングで問う必要があると考えました。
そしてもう一つ、質問全体を貫く私の考えがあります。障がい福祉は、サービスの基準や報酬など国の制度で決まる部分が大きく、市にできることには限りがあります。「それは国の制度なので」という答弁も、正直、少なくありません。
けれど、「福山の現場で今なにが起きているか」を一番よく把握できるのは、市自身のはずです。
福山市は中核市として、事業所の指定や指導監査の権限という大きな権限を持っています。
だからこそ、現場をしっかり把握し、必要なら国にも声を上げていく、そういう立場で臨みました。
重い障がいのある方の「受け皿」と「親亡き後」
医療的ケアや強い支援を必要とする方を支える短期入所や生活介護は、ご家族のレスパイト(一時的な休息)や、緊急時の受け皿として欠かせません。
ところが、国の調査でも短期入所は経営的に厳しく、構造的に担い手が限られる分野です。
まず私は、市内で重症心身障がいや強度行動障がいのある方のうち、施設やグループホームを使わず「在宅」で暮らしている方が何人おられるかを尋ねました。
市からは「およそ500名」という答弁がありました。
この方々の暮らしの多くは、ご家族の介護で成り立っています。
ご家族の高齢化、いわゆる「8050問題」、そして「親亡き後」を考えれば、いま手を打たなければなりません。
再質問では、この500名の内訳(重症心身と強度行動それぞれ何人か)や、親亡き後に受け入れる体制をどう位置づけるのかを重ねて問いました。
市からは、短期入所を増やすため、開設を検討する医療機関などに対し、本体施設と一体で運用する「空床利用型」を、県と連携して提案していること、そして次期計画では、重症心身障がいの方を支援する事業所数や、医療的ケア児コーディネーターの配置数を「数値目標」として設定する方向である、との答弁を得ました。
「検討する」で終わりがちな中で、測れる目標を置く方向にまで踏み込ませたことは、一つの前進だと受け止めています。
相談の「入口」が、市内に1か所でよいのか
障がい福祉サービスは、まず相談につながることから始まります。
その中核を担うのが基幹相談支援センターです。
総合的な相談に加え、市内の相談支援事業所を指導・育成し、困難なケースを支える「最後の砦」です。
ここで、私は高齢者福祉と比べてみました。
高齢者には、身近に相談できる地域包括支援センターが、学区単位で市内に整備されています。
ところが、障がいの基幹相談支援センターは、市内にたった1か所(クローバー)だけです。
数字で見ても、この差は際立ちます。
市の資料では、福山市の要介護・要支援の認定者は約2万9,962人。
これに対し、障がい者手帳をお持ちの方は約2万6,624人と、支援を必要とする方の規模はほぼ近い。
それなのに、高齢者は身近に25か所、障がいは市域でわずか1か所。
これでは、地域で困っている方の声を広く拾うには足りないと言わざるを得ません。
しかも障がいは、身体・知的・精神に加え、医療的ケアや強度行動障がいなど、必要な専門性が分野ごとにまったく異なります。
実際に相談員さんからは「一人ですべての障がいに対応できる状態ではない」「精神障がいは“これが答え”というものがなく、手探りだ」という声を聞きました。
それを束ねる基幹が1か所では、支えきれません。
福山でも相談員さんが自分で計画を作れず、本人・家族が作る「セルフプラン」の割合が、成人で19.9%、障がい児では40.9%(うち児童発達支援では78.6%)と、全国平均より高い状況です。
これは、専門の相談員が足りていないことの裏返しでもあります。
そこで私は、市内5つのブロックに分かれている相談員の連絡会を活かし、各支所の福祉部門に相談員を配置する、地域包括支援センターに障がい担当の専門員を育てる、地域を回っておられる民生委員さんと情報を共有する場をつくる
こうした「身近な相談体制」への具体策を提案しました。
市も課題は認識しており、引き続き求めていきます。
「たん吸引」ができる人を増やせば、受け入れられる場所が増える
施設を回るなかで、最も切実に聞いたのが「看護師が足りず、来てくれない」という声でした。
医療的ケア(たんの吸引や経管栄養)が必要な方は、看護師がいなければ受け入れられない
それが受け皿が広がらない大きな原因の一つです。
実は、研修を受ければ、介護職員や保育・学校の職員などが、医師の指示と看護師との連携のもとで、たん吸引などを担える「認定特定行為業務従事者」という仕組みがあります。
この資格を持つ人が増えるだけで、短期入所や施設の受け入れの幅が広がります。
ところが、その研修を受けられる場が身近にないのです。
県内の登録機関は55か所、福山にも18か所ありますが、その多くは自分の法人の職員向けに実施しているだけで、一般に公募されていない。
「受けたいのに受けられない」という事業者の声を、そのまま議場で伝えました。
市に対しては、こうした法人が一般向けにも講習を開けるか確認し、周知するなど、受講しやすい環境づくりを後押しするよう求めました。
保育の現場を守る ― カスタマーハラスメント対策
保護者などからの過度な要求や暴言に、保育士さんが精神的に追い詰められる。
実際に、市内の保育所に勤める職員の方から、そうした相談が私のもとにも寄せられました。
これは福山だけの問題ではありません。
厚生労働省の調査では、カスタマーハラスメントの相談があったと答えた企業の割合は27.9%に増加し、業種別では「医療・福祉」が53.9%と全業種で最も高い。
対人援助の現場に負担が集中している実態が示されています。
そして10月1日から、事業主にハラスメント防止の措置が初めて義務づけられます。
市も、保育所を運営する事業主として、この義務を負います。
市からは、すでにカスハラ対応マニュアルを作成し、市内の全ての保育施設に配布したこと、公立保育所で「カスハラ」として把握している事案は1件、との答弁がありました。
マニュアルの整備は前進です。
ただ、把握が1件というのは、「何がカスハラか」を切り分けて集計できていないからではないか、と私は考えます。
そこで、二つ提案しました。
一つは、保護者からのハラスメントを、匿名で報告・集計できる仕組みをつくること。
声を上げた保育士さんが特定されない形でなければ、実態はつかめません。
もう一つは、「抑止」の具体策です。
電話の受付で「記録のため通話を録音します」と自動音声で伝える、話し合いの場でも「記録として録音させていただきます」とルールとして伝える。
これだけでも、大きな抑止になります。
本当に必要な要望であれば、冷静に伝えていただければよいのです。
市民サービスを担う職員が守られ、伸びやかに保育に向き合える環境をつくることが、めぐりめぐって子どもたちのためになる。
市長が掲げる「現場主義」で、職員の声にも耳を傾けてほしいと求めました。
人口が減っても、暮らしを守るために ― 共生型サービス
金江・沼隈・新市といった周辺の地域では、これから高齢者も子どもも、さらに減っていきます。
高齢・障がい・子ども、それぞれ単独では、事業所が成り立たなくなる恐れがあります。
だからこそ、これらを一つの拠点に束ねる「共生型サービス」が現実的な答えになります。
富山県で生まれた「富山型デイサービス」のように、高齢者も、障がいのある方も、子どもも、分け隔てなく同じ場所で過ごす。
そうした複合的な施設づくりを進める自治体も出てきています。
私は、市が「活用を検討する」で終わらせず、モデル地区を定めて、事業者と一緒に理想の形を考え、伴走しながら後押しするよう求めました。
介護と障がいの二重の手続きや、改修費、人材、場所の確保といった壁を、市が下げていく。
国の「重層的支援体制整備事業」なども活かせるはずです。
私が大切にした一点 ― 監査を「チェック」から「伴走」へ
最後に、質問を通して私がこだわった点をお伝えします。
市が事業所に関わる主な手段は「運営指導・監査」です。
市に確認したところ、この監査は年間およそ200件、各事業所には3〜6年に1回、1件あたり約3時間で行われています。限られた人員のなか、職員の皆さんは本当に大変な思いで取り組まれています。
ただ、わずか3時間で書類や請求の確認をすれば、「その支援が本当に利用者に合っているか」まで踏み込む余裕は、ほとんどありません。
せっかく現場に足を運んでいるのに、書類のチェックで終わってしまう。
私はここに、大きな“もったいなさ”を感じました。
だから提案しました。
デジタル化やAIで簡易にできるチェックはそちらに任せ、職員が現場で「支援員がどんな思いで、どんな課題を抱えて利用者と向き合っているか」を知る。
市民にサービスを届けているのは、別の組織ではなく、同じ地域で働く仲間です。
その方々がやりがいを持って働ける環境をつくることが、めぐりめぐって市民サービスの質を高めます。
「チェックする市」から、現場に寄り添い、一緒に良くしていく“伴走する市”へ——この視点を、これからも訴えていきます。
これからも取り組みます
今回、重度支援の数値目標化の方向、空床利用型の後押し、カスハラ対応マニュアルの全園配布など、いくつもの前進を確認できました。
一方で、相談体制の身近な整備、たん吸引ができる人材の養成、カスハラの“見える化”などは、まだ「検討」「認識」の段階です。
支援を必要とする方とそのご家族、そして現場で支える職員の皆さんの声を聞きながら、次期計画にしっかり反映されるよう、12月議会以降も、粘り強く取り組んでまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。ご意見・ご相談は、いつでもお気軽にお寄せください。